■多発性硬化症
Aさん(40歳代)のご相談です。
Aさんは、勤務中(厚生年金加入中)に突然視界がぼやけ視力が低下し、眼痛がおこり、視野も半分欠損していることに気がつきました。多発性硬化症とは、脳や脊髄などの一部の働きが悪くなってしまう病気です。神経が侵されるため、眼がかすんだり、身体の感覚に異常が出たり、運動麻痺が生じたりと、さまざまな障害が引き起こされる病気です。Aさんは、視力低下もあり、両眼の視力の和が0.04であったことで、1級障害に認定されました
【 事例から学ぶこと 】
視力の障害は、両眼(矯正視力)の視力の和が0.04以下のものは国年令別表 1級になります。病歴就労状況等申立書は詳しく書くことが重要です。 |
■緑内障
Aさん(50歳代)のご相談です。Aさんは、35歳から緑内障を発病されました。
緑内障とは、眼球の内圧(眼圧)が高まるために視神経が障害されて、しだいに視野が欠けていく病気です。徐々に視野が欠けていくので最初はほとんど自覚症状もなく、視力も最後まで保持されるのでなかなか発見されにくい病気です。
Tさんは、眼圧が正常なのに視神経が弱く緑内障となる「正常眼圧緑内障」と診断されたのは、発病(自覚症状があったとき)から、2年経過したころとのことでした。
その後徐々に視野狭窄と視力の低下により、日常生活に支障をきたすようになりました。身体障害者手帳は、「両眼の視野10度以内かつ損失率95%以上(2級)」でした。
障害厚生年金を請求した結果、2級の年金証書が届きました。
【 事例から学ぶこと 】
求心性視野狭窄の場合、左右それぞれの眼の視野が5度以内であれば障害等級では2級です。輪状暗点のあるものについては中心の残存視野が左右それぞれの眼の視野が5度以内であることとなっています。 |
■網膜色素変性症(1)
Aさん(40歳代)のご相談です。Aさんは、30歳頃から暗所で目が見えにくい(夜盲症)ことには気がついておられましたが、特に不自由もなかったので気にもせず生活してこられました。33歳のとき、車の運転をしているときに左右が見にくいこと(視野狭窄)に気がつき、病院に診察を受け、「網膜色素変性症」と診断されました。網膜色素変性症は遺伝性の病気と考えられています。医師の診断書にも、「傷病の原因又は誘因」に「先天性」との記載がありました。社会保険事務所では、「先天性」について、社会保険庁から主治医に照会が入る場合もありますと言われ、「先天性」だと「障害厚生年金」は受給できないのかとのご相談でした。先天性の疾病であっても症状が自覚されたとき、或いは検査で異常が発見されたときをもって発病とされます。Aさんの場合は具体的な症状が出現したときが33歳で、そのときが発病日で、その後初めて医師の診察を受けた日が初診日です。初診日のときに厚生年金の被保険者でしたので、裁定請求の結果、障害厚生年金が受給できました。
【 事例から学ぶこと 】
先天性の傷病であっては、潜在的な発病が認められたとしても通常に勤務していた場合は、症状が自覚されたとき、あるいは検査で異常が発見されたときをもって発病とされます。 |
■網膜色素変性症(2)
Aさん(50歳代)のご相談です。25歳頃から視野が狭くなっていることに気がついていましたが、仕事や日常生活にに影響を与えるほどではなかったのでそのまま病院にいくこともありませんでした。その後約10年経過し、ドーナツ状の視野欠損を自覚し、病院を受診したところ「網膜色素変性症」と診断されました。
網膜色素変性症は重傷度、進行度の違いはあるものの進行する夜盲、視野狭窄、視力低下を主症状とします。出生直後から高度の視力障害がある方から、70代,80代になってもほとんど日常生活に支障をきたすことなく生活できる方までその症状の現れ方は、遺伝子異常の種類により様々であるということです。
Aさんの場合は具体的な症状が出現したときが25歳(61年3月31日以前 厚生年金加入中)で、そのときが発病日です、その後10年後に初めて医師の診察を受けた日が初診日(61年4月1日以降 厚生年金加入中)です。その後、徐々に変性が進行し、視力低下、視野障害が悪化したため、障害厚生年金の事後重症による裁定請求を行いました。結果、障害厚生年金1級が支給されることになりました。
【 事例から学ぶこと 】
発病日は、61年3月31日以前 、初診日が、61年4月1日以降(発病日、初診日いずれも厚生年金加入中)の場合、法律の適用は、新法の障害厚生年金です。
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■両錐体ジストロフィー
40歳の方のご相談でした。「約10年前頃から視野が狭くなっていることに気がつき病院で眼底検査をしたところ、黄班部に変性がある(病名は両錐体ジストロフィー)といわれ、その後現在に至るまでに徐々に視力と視野の低下が進み、仕事や日常生活にに影響を与えるようになりました。初診日の証明などに困難な点が多く手続の代行をお願いしたいのですが。」というものでした。
両錐体ジストロフィーは、進行性の病気で、現在のところ治療法もないということで、現在までこられておられます。障害厚生年金の事後重症で年金の請求を行いました。初診日の証明など困難なこともありましたが、結果、障害厚生年金1級が支給されることになりました。
【 事例から学ぶこと 】
初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合は、「受診状況等証明書」により初診時の医証(診療録に基づく発病・初診日を証明する医師の証明)を求めることになっています。カルテの保存期限が5年であるため、初診時の医証がないものは、2番目以降の「受診状況等証明書」をとることも必要になります。病歴の長い障害年金の請求は追跡調査して、初診の証明ができるかどうかがポイントになります。 |
■網膜色素変性症(3)
Aさん(40歳代)のご相談です。Aさんは、5年前に身体障害者手帳2級の認定を受けたときに、障害基礎年金を請求しましたが、視力が基準に達していないという理由で不支給になりました。現在は、視力が右0.1左0.05です。暗いところは全く見えません。視野が5度以内かどうかはわかりません。年金は支給されないのでしょうか。というご相談でした。不支給になってから5年経過していることから、再度診断書をとってみることをお勧めしました。出来上がってきた診断書で、「視野がT/4にて測定不能」という診断で、障害基礎年金が支給されることになりました。
このように、一度、網膜色素変性症で障害年金が不支給になった方も、ある程度年数が経ち、障害が進んでいることもあります。一度ダメだった方もそのままあきらめてしまわずに、定期的に医師の診断を受けて視力と視野の検査をされることをお勧めします。
【 事例から学ぶこと 】
事後重症の障害基礎年金とは、障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月経過した日)において、政令で定める程度(1級、2級)の障害の状態に該当しなかった場合で、その障害により65歳に達する日の前日までに、政令で定める程度(1級、2級)の障害の状態に該当するに至った場合は、65歳に達する日の前日までに請求を行えば障害基礎年金が支給されるという制度です。事後重症の障害基礎年金は、請求を行った日に受給権が発生します。65歳に達する日の前日(65歳の誕生日の前々日)までに請求を行わなければなりません。
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■糖尿病性網膜症
Aさん(40歳代)のご相談です。「約20年前に糖尿病と診断され,食事療法や運動療法で血糖値のコントロールを続けてきましたが、2年前ぐらいから眼が見えづらいと感じ、眼科を受診したところ、糖尿病性網膜症と診断されました。両眼の視力の和は0.05です。障害基礎年金は受給できるでしょうか。」というご相談でした。糖尿病性網膜症は、糖尿病と相当因果関係がありとみます。すなわち、同一傷病として取り扱われ、障害年金の請求上の初診日は、糖尿病を発病した後に、初めて医師の診察を受けた日となります。糖尿病の初診日である病院では20年前でカルテも残っておりませんでしたが、2番目、3番目に受診した病院の診療録に糖尿病の発病日や初診日についての記載があったことなどから、20年前の初診日において国民年金の被保険者であり、尚且つ、初診日の前日において、保険料納付要件を満たされていたと判断されたことから、障害基礎年金の年金証書が届きました。
【 事例から学ぶこと 】
糖尿病がなかったならば、糖尿病性網膜症が起こらなかったであろうと認められるため、糖尿病と糖尿病性網膜症は、相当因果関係ありとみて、同一傷病として取り扱われます。障害年金の請求上の初診日は、糖尿病で、初めて医師の診察を受けた日となります。 |
■網膜色素変性症(4)
さん(40歳代)のご相談です。「6年ほど前、専業主婦だった頃、網膜色素変性症と診断されました。現在身体障害者手帳は、1種2級です。視力は0.6ありますが、視野は半分以上かけていると思います。」というご相談でした。
一般に網膜色素変性症は、20歳前後から鳥目を意識するようになったというような発病の自覚の訴えをされる人が多く、障害年金の初診日は、発病日以降初めて医師の診察を受けた日になります。
問題は、病院を最初に受診した際のカルテが残っているかどうかということです。個人病院であれば残ってないケースが多く、その場合は、初診日が20歳代にあることは証明できません。Aさんの場合は、やはりカルテは残っていませんでしたが、当時の医師が「当時の診察で 病気の説明をした」という証明書を書いてくださいました。これにより、初診日における受診状況が証明され、障害厚生年金2級の決定が下りました。障害年金はケースバイケースです。 お一人お一人の年金加入歴、初診のこと、その他障害の状態等によりすべて手続の結果が異なってきます。特に、網膜色素変性症など、発病から障害年金が受給できる程度の障害にいたる中高年になるまで、期間が長い病気は、初診の証明が難しいケースが多々あると推測されます。
【 事例から学ぶこと 】
初診日を証明するものは必ずしも診療録による証明でなくても認められる場合があります。初診日を客観的に証明できるものを探してみましょう。
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■黄斑変性症
Aさん(60歳)から「つい最近テレビを見ていて私と似たような弱視の報道が成されていて、障害年金という制度を知りました。私は障害年金を受け取る事が出来るでしょうか?」というご相談を受けました。
Aさんは、子供の頃から視力が弱く、眼鏡をかけてもほとんど視力が変わらなく、教室で授業中、黒板の文字が見えなく非常に苦労されてこられたとのことでした。どの病院にかかっても、原因不明、病名も不明の診断だったそうです。20歳前後に大学病院で検査をされていますが、正確な年月日は定かではなく、カルテも残っていません。それ以降弱視に関しては病院を受診せず30年近く生活をされてきました。54歳(平成13年)のとき、さらに目が見えづらくなり、大学病院を受診したところ、やはり病名は特定できず、さらにその6年後 平成19年の受診で「黄斑変性症」と診断されたとのことでした。
視力は、左0.02 右0.01とのことでしたので、障害等級に該当されること自体は間違いないのですが、20歳前の初診日を証明するものは何一つありませんでしたが、幸い、Aさんはこれまで国民年金の滞納など、保険料納付要件で障害基礎年金が受給できないというようなこともなく、そういう意味では、20歳前の障害であっても、平成13年に病院を受診した時点であっても、障害基礎年金が受給できることは間違いありませんでした。本件の請求は、結果的に「20歳前の障害基礎年金(事後重症)」で年金証書が届きました。20歳前からの傷病により、事後重症で、現在の障害の状態になったという判断になりました
■両ぶどう膜炎
Aさん(50歳代)のご主人様から「妻は昭和62年の初診で、平成14年には身体障害者手帳1級となりました。障害年金は受給できますか」というご相談を受けました。早速年金加入歴を調査したところ、昭和53年〜昭和61年3月まで国民年金は任意加入されておられ、61年4月1日〜は国民年金の第3号被保険者となって現在に至っておられました。保険料納付要件は問題なく、障害状態要件も該当されていました。20年以上前の初診の病院は既に廃院となっていましたが、初診日のわかる診察券が残っていました。遡及請求の可能性を勘案しましたが、視力がまだその障害認定日頃は障害等級に該当する程度ではなかったとのことで、事後重症の請求をし、無事 障害基礎年金1級の年金証書がとどきました。
本来かなり前から 障害等級に該当されていましたが、(1)障害認定日〜3ヶ月の診断書で障害等級に該当していない場合や、(2)障害認定日〜3ヶ月の障害の程度を立証できないときは、原則として事後重症になります。Aさんの場合も(1)(2)の両方の理由で事後重症の請求となりました。「事後重症の年金請求は、請求年金とも言われ、請求したときに受給権が発生し、障害年金を請求した月の翌月から支給開始になります。
■網膜色素変性症(5)
Aさん(50歳代)のご相談です。
平成10年1月に駅で電車の乗り換え時にホームの鉄製の柱に顔の左側からぶつかり、その時に眼鏡を壊し、翌日、○○眼科病院を受診。その時に担当医師より「人とよくぶつかったりしませんか?」と初対面の私に問いかけられて、「網膜色素変性症」ですねと診断されたということでした。通常、網膜色素変性症は、長い年月をかけて徐々に視野狭窄が進行することが多い疾患であるため、10年以上前の初診日であったことから、当初は、事後重症での手続で行うことで進めていました。しかし、手続の途中で初診の眼科病院に当時のカルテと視野検査記録が残っている事がわかり、カルテの開示請求を行ったところ、視野検査記録を見て、はじめて初診日のときに既に視野は5度以内であったことが明らかになったのでした。そして急きょ、障害認定日による請求(遡及請求)に方針を転換しました。
そこで遡及請求を確実に成功させるために、障害認定日よりも前の時点で、既に視野が5度以内であったことの診断書と、あくまでもこれは念のためですが、過去10年以上遡及させるため、不本意な認定結果となり審査請求など時間のかかる面倒なことに巻き込まれないように、障害認定日を挟んだ後の直近の視野検査をしたときの診断書でも同様に視野が5度以内であることがわかる診断書の作成を医師にお願いしました。
診断書では、「F傷病が治ったかどうか」のところは、「傷病が治っていない場合」を医師は選択されており、症状がよくなる見込みは「無」とされていたこと。予後も「緩徐であるが進行する可能性がある」との診断でした。
行政側は、これらのことを総合評価され、網膜色素変性症の視野障害という性質上「不可逆性」という観点から、障害認定日の特例(初診日より1年6ヶ月を経過する以前に症状が固定)で、その障害の程度が障害等級の2級に該当し、「受給権を取得した年月は平成11年3月」として年金証書が届いたのでした。
ここで、Aさんにはいくつかラッキーな点がありました。それは、○○眼科病院にカルテが残っていたこと。当時の診療録と視野が5度以内を証明する視野検査の記録が残っていたことで、客観性のある証拠となったことで行政側が審査しやすくなったこと。そしてそれらを裁定請求書類に添付して提出できたことなどです。
- のことでした。すべてのデーターが見事にきちんと管理・保管されていまし
日本の公的年金制度を振り返っても、網膜色素変性症による視野障害が障害年金として認められたのは、認定基準が改正された平成14年4月1日以降のことです。それまでは、障害年金に視野障害という概念はありませんでした。Aさんが初診日である平成10年1月当時、障害年金を請求できる法的な環境は当時まだありませんでした。
平成19年に、転居地の○○大学病院の先生の最初の診察時に「身体障害者手帳2級相当ですよ。障害年金も申請できますよ。どうしますか」と言われなければ何も知らずにおられたことでしょう。今から思えば、都道府県に提出する難病医療費助成申請書のための平成10年の診断書のコピーや、平成14年2月時点の視野検査記録も残っていたそうなのですが、そのデーターが、視野が5度以内かどうかはわからずにいたとAさんは、振り返っておられました。
認定基準が平成14年4月に改正される前の視野障害が遡及して障害厚生年金2級で認められた事例を是非同じご病気で悩んでおられる皆様に成功事例として掲載していただきたいというお申出がありました。一人でも多くの方がこの事例をご覧になられ将来の安定した生活の足がかりを得ることができるきっかけになりますように祈念いたします。
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