スペース

■ポストポリオ症候群

Aさん(30歳代)からのご相談でした。「私は幼少期にポリオに罹患し、下肢に障害があり障害基礎年金1級を受給してきましたが、37歳まで医療を受けることなく元気に働いてきました。37歳のときに新たに呼吸筋のマヒと両上肢のマヒがおこり、医師の診察を受けたところポストポリオ症候群だと診断されました。37歳にポストポリオ症候群の診察を受けたときには厚生年金加入中でしたので、障害厚生年金が受けられるでしょうか」というものでした。裁定請求、審査請求ともに、「ポリオとポリオ後症候群(PPS)は同一傷病であり、重複請求である」という理由で却下されました。

「症状安定期の37年は、医学上の治癒および社会的な治癒に該当するということを根拠として、厚生年金加入中のポストポリオ症候群を新たな障害として、障害厚生年金の支給決定を求める」という論点で審査請求をしたところ、同じく却下され、 理由は同じ「ポリオとポリオ後症候群(PPS)は同一傷病であり、重複請求である」というものです。

そして、再審査請求をして回答を待つこと1年6ヶ月 原処分の変更がありました。社会保険庁から「原処分を変更します」という電話連絡が入り、再審査請求書は取り下げになりました。結論として、障害厚生年金1級が支給されることになりました。

 

 

【 平成18年2月 社会保険庁が正式にPPSをポリオとは別傷病であることを認めました。(*現在は上記のような同一傷病か別傷病かで審査請求する必要があるような事例は発生しません。) 】

<条 件>

ア. 新たな筋力低下及び異常な筋の易疲労感がある。

イ. ポリオの既往歴があり、少なくとも1肢にポリオによる弛緩性麻痺が残存する。

ウ. ポリオ回復後ポストポリオを発症するまでに、症状の安定していた期間(おおむね10年以上)があること

エ. アの主たる原因が、他の疾患ではないこと。

などの条件を全て満たしたPPS患者はポリオとは「別傷病」と認定。PPS初診日を基準に障害厚生年金を支給するとしている。


■パーキンソン病

Aさん(50歳代)のご相談です。「約10年前に発病したパーキンソン病が徐々に進行し、昨年身体障害者手帳4級を取得しました。障害厚生年金は受給できないでしょうか。」というご相談でした。

パーキンソン病は、肢体の機能障害で、年金の請求をします。
年金請求の注意点は、パーキンソン病は中枢神経系の疾病ですので、筋力や四肢関節運動領域の障害をみるのではなく、痙直、不随意運動、失調、強剛、振せんなどによる諸動作の巧緻性、耐久性、速度などの障害を評価するものであることです。

診断書の日常生活動作の障害の程度(つまむ〜片足で立つ、階段の上り下り)の○×だけでは、本来の障害の状態をうまく伝えるのが難しい病気であるといえます。

発病から10年以上が経過してTさんも、薬が効かない、効くのに時間がかかるというウェアリングオフがおきるようになり、そのことが日常生活に著しい制限を加えているのですが、薬が効いているときは、階段の上り下りはできる(○)という判定になりますので、診断書の作成には主治医もかなりご苦労されたようでした。

【 事例から学ぶこと 】

パーキンソン病で年金の請求をされる方は、医師への診断書依頼の際は、薬が効かないときの状態で診断書の日常生活動作の障害の程度を記載して頂いてください。


【 後日談 】

最初の裁定請求から2年経過しました。Aさんから、「障害が重くなったので額改定請求を行いたいのですが」というご依頼がありました。【障害給付 額改定請求書】を提出し、待つこと3ヶ月、障害厚生年金2級に等級が改定されました。


■筋ジストロフィー

Aさん(30歳代)のご相談でした。「今から考えると高校生の頃のあたりから足腰に力が入らないので階段の上がり降りなどもつらく感じていました。年々ひどくなり、30歳の時に病院で診察してもらったところ”筋ジストロフィー”と診断されました。現在も座り仕事で働いています。障害年金を申請できるでしょうか」というご相談でした。18歳で発病して、初診は30歳のときの厚生年金加入中でした。厚生年金加入中に初診日がある場合は、障害厚生年金で請求が可能で、在職中でも給与等との支給調整はありません。

筋ジストロフィーなどの多発性障害の場合は、関節個々の機能による認定によらず、関節可動域、筋力、日常生活動作等の身体機能を総合的に認定することになっています。

出来上がってきた診断書では「関節運動筋力が下肢で半減〜著減、日常生活動作(下肢の部分)が△×がほとんどで、補助具は杖を時々使用、歩行不自由で労働能力なし、日常生活も介助を要する、予後:不良 進行性の疾患である」という内容でした。

裁定請求から2ヶ月経過して、Aさんに障害厚生年金2級の年金証書が届きました。

【 事例から学ぶこと 】

診断書上のポイントは、日常生活動作と現症時の日常生活活動能力及び労働能力、予後です。これらは障害の程度を認定するに当たって重要な意味を持ちます。