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■骨髄異形性症候群

Aさん(30歳代)のご相談でした。「骨髄異形性症候群を傷病名とする障害厚生年金を請求しましたが、障害等級付該当で不支給決定がおりました。同じように、骨髄移植を受けた人が、その人は国民年金の請求で障害基礎年金の2級なのに、請求するのが厚生年金だというだけで、私は不支給になったのでしょうか。現在、会社は休職中だということも影響したのでしょうか」というご相談でした。

当事務所の方針は、審査請求をするためには、提出した診断書と病歴就労状況等申立書のコピー詳細に検討して、その行政の判断に合理性があるかどうかをまず考えます。その上で、審査請求しても可能性があると判断できる場合は、審査請求を代行させていただいていますす。(ダメモトという考え方はありません。)

Aさんの場合は、彼女の骨髄移植後の血液データ‐が、異常値を示していなかったので、障害等級に不該当であると判断されたものとわかりました。
しかし、考えてみれば、骨髄移植をしたのだから末梢血液データ‐が正常であるというのは、移植が成功した結果であるので当然です。

それでも尚、骨髄データ‐が異常値を示していることは免疫機能が弱いことを示してしました。主治医の診断も、一般状態区分表の(ウ)「歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上を起居しているもの」と診断しておられました。

また、移植をした方は良くご存知のことだと思いますが、慢性GVHDによる様々な病気が重複してあり、また移植前の放射線療法による後遺症も併せ持つ状態で、大元の骨髄異形性症候群の病気は確かに治ったかも知れないのですが、その治療をしたがために「易感染症」や肝機能障害、粘膜炎、結膜炎、唾液の減小、サイトメガロウィルスへの感染、高血圧等の新たな疾患のオンパレードと戦うことになってしまっているのです。

「骨髄移植をしなければ、5年以内の生存率はこれぐらいである」と、医師に生存率のグラフを見せられたら、骨髄移植以外に選択肢はなく、その後、こういう慢性GVHDにこれほど悩まされるとは当初は予想もしなかったことだったそうです。

こういう状態は、障害認定要綱の末梢血液データ‐が正常だから、障害の状態ではないという社会保険庁の判断には疑問をもたざるを得ず、審査請求をしたところ約2週間で、社会保険業務センター(保険者)が「裁定請求の決定の変更について」を出してきました。これほど速い原処分の変更は当事務所でも初めてのケースでした。

【 事例から学ぶこと 】

血液・造血器疾患による障害年金の請求は、骨髄移植をされたケースの場合、当然のことですが、末梢血液データ‐が正常です。障害認定要綱では末梢血液データ‐で異常か正常かを判断するようになっており現実問題として、こういう事例は現行の障害認定要綱にあてはめにくいのです。しっかり申立てをしていただくことが障害年金請求のポイントであろうと思います。


■ヒト免疫不全ウィルス感染症(HIV感染症)

Aさん(40歳代)のご相談です。「約6年前 ヒト免疫不全ウィルス感染症(HIV感染症)と診断され、抗ウィルス治療をした結果、免疫機能改善が認められ現在は小康状態です。障害年金は受給できるでしょうか」というご相談でした。

特に、CD4値は重要な指標で、200未満になると顕著な疲労感、倦怠感、日和見感染症などの発症の危険が高まるため、抗エイズ薬の多剤併用療法が実施される結果、その副作用により、労働や日常生活が著しく制限を受ける場合が多いという調査結果が出ています。

Aさんは、CD4値は比較的回復しておられましたが、現在も強い倦怠感、疲労感、動悸や息切れなどの症状により、日常生活はかなり制限されておられました。後日、Aさんのもとに障害年金の年金証書が届きました。

【 事例から学ぶこと 】

ヒト免疫不全ウィルス感染症の障害認定は、続発症(ヒト免疫不全ウィルス消耗症候群、日和見感染症等)の有無、その程度、および、CD4値(血液中に含まれるリンパ球の一種で、免疫全体をつかさどる機能をもつリンパ球数のこと)等の免疫機能の低下の状態を含む検査所見や、労働や日常生活の障害の状態を総合的に認定することになっています。(ヒト免疫不全ウィルス感染症に係る障害認定について(通知)平成10年2月4日庁保発第1号)


■慢性骨髄性白血病

Aさん(40歳代)からの電話による相談でした。
慢性骨髄性白血病で障害厚生年金を請求したいということでした。
現在も、勤務されていますが、疲労感は激しくこのまま働いていく自信もないので障害年金が受給できれば助かるのですが・・・ということでした。
血液データは投薬の効果がありデータ的には良好な数値を示しており、疲労感は激しいものの、今のところ、ご自分で体調をコントロールしながらの勤務は可能なのです。働くことが出来ているという事実関係で障害年金が出るかどうか。というご相談でした。裁定請求の結果、障害等級不該当という結果が届きました。

すみやかに審査請求を行いました。1ヶ月して、「裁定請求に係る決定の変更」の通知が届きました。平成17年3月 不支給決定が変更され、障害厚生年金が受給できるようになりました。
慢性骨髄性白血病などの血液系の障害年金の請求は難しいです。治療した結果、一般的な血液検査データに異常が出ない場合があります。Nさんの慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞移植又はインターフェロン療法を行う以外に現在のところ根本的な治療法がなく、現在、グリベックの投与によりフィラデルフィア染色体は陰性となっていますが、遺伝子レベルでは治癒しておらず、もし、グリベックの投与をやめると急性転化を起こす可能性があり、現在もグリベック投与を継続しており経過観察を行なっている状態です。不服申し立てにより、疲労感、動悸、息切れ、発熱も常時あり、労働に著しい制限を加えているということが認められ障害厚生年金3級が決定になりました。

【 事例から学ぶこと 】

グリベック投与により、療養中の慢性骨髄性白血病の成功事例は、本件は平成17年3月審査請求により、原処分変更で「不支給」→「支給」という経過をたどりましたが、その後、慢性骨髄性白血病で、障害厚生年金の請求を数件行っていますが、不支給の処分は出ていません。全員3級決定されています。このことより、初診日において厚生年金の被保険者であった人であれば、グリベックの副作用を含めた現在のお身体の状態によっては、3級であれば、受給の可能性があると思います。


■多発性骨髄腫

Aさん(50歳代)からの相談でした。
多発性骨髄腫で障害厚生年金の請求を代行してくださいというご依頼でした。
Aさんは、歩行に支障が出てきたことを不信に思い病院を受診されたことが最初に病院を受診されたきっかけでした。その時に、「多発性骨髄腫の疑い」というがあるので、血液内科のある大学病院に転院されました。大学病院で、多発性骨髄腫と診断され、造血幹細胞移植などの専門的な治療を受けられた結果、病気の進行は止まって現在は安定されています。しかし、骨病変による疼痛や骨折の危険があり、発病前の仕事には戻ることができず、日常生活も制限されている状態で、障害厚生年金を請求した結果 障害障害年金3級の年金証書が届きました。

尚、Aさんは3級相当の聴力障害がおありだったので、後日、追加で聴力障害による障害厚生年金を請求しました。いわゆる「初めて2級による請求」です。「前発障害(多発性骨髄腫)=3級」と、「後発障害(感音性難聴)=3級」で、併合してはじめて2級となり、請求した翌月から2級の障害厚生年金が支給されることになりました。

【 事例から学ぶこと 】

「初めて2級による請求」とは、2級以上の障害の程度に満たない程度の障害の状態にあった人が、新たな傷病(基準傷病)にかかり、65歳になるまでの間に、基準傷病による障害と前の障害をあわせるとはじめて2級以上の障害に該当したときは、本人の請求により障害基礎年金等を受けられるというものです。

初めて2級


■キャッスルマン病

Aさんのご主人様からのご相談でした。「キャッスルマン病は障害年金の対象になるのでしょうか。現在は貧血で2週間に1回の輸血治療を受けています。要介護1の介護保険を受けています」というご相談でした。私も「キャッスルマン病」は、初めてお聞きした病名でしたが、いろいろと調べますとリンパ節、血液の病気であることがわかりましたので、可能性は十分あると思い、血液・造血器疾患の診断書で年金請求をされることをおすすめしました。Aさんは貧血の症状が重くほぼ一日寝て過ごされている状態でした。裁定請求をした結果障害基礎年金2級の年金証書が届きました。

【 事例から学ぶこと 】

血液・造血器疾患による障害では一部例示として社会保険庁が示されているものは以下のものです。

ア 難治性貧血群(再生不良性貧血、溶血性貧血等)

イ 出血傾向群(血小板減少性紫斑病、凝結因子欠乏症等)

ウ 造血器腫瘍群(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)

今回、キャッスルマン病が血液・造血器疾患による障害で障害基礎年金が支給されたことは実績ですので、同じご病気で悩まれておられる方の朗報になろうかと思います。


■急性リンパ性白血病

Aさんから「急性リンパ性白血病と診断され、さい帯血移植を行い、5ヵ月後退院、自宅療養を経て、現在は 職場復帰しています。今も、移植後の慢性GVHD、激しい下痢、動悸、息切れなどがあり、仕事は、事務などに限られますし、体調を崩し易く、通常の勤務はまだできていません。働いていますが 障害厚生年金は受給できるでしょうか」というご相談でした。

さい帯血移植に成功、その後も、再発もありませんので、血液一般検査のデーターでは、異常はない状態です。しかし、障害年金が受給できるかどうかは、労働や日常生活にどの程度の制限や援助が必要になるのかで決まります。職場復帰している人でも、労働に著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度であるものは3級と認定するという基本的な考え方があります。
Aさんは 診断書では、「軽い家事や事務作業には従事できる状態」という医師の診断でしたが、本人の病歴就労状況等申立書などとの総合的な判断から、障害厚生年金3級の受給権が取得できました。